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うみがめ花子



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その22

 花子はザトウクジラさんと潮吹き遊びをして遊んだ事が、遠い昔の事のように思っていました。しかし、ザトウクジラさん達と遊んだのは、ほんの数ヶ月前の出来事でした。今頃、望美ちゃんやさとちゃんはどうしているのでしょうか・・・?
 いつ這い上がったのか、花子はユキの頭の上にいました。
「ゆきちゃん、潮を吹き出して!」
花子は慣れたもので、ユキの鼻の穴の上に陣取り、4つの肢を広げて構えていました。ザー!、ユキは思い切り潮を吹き出しました。
「ワ〜!」
花子はひさしぶりに空に舞い上がりました。青い青い空です。そして、広い広い海がはてしなく続いています。一瞬、花子は鳥になった気持ちでした。
「オーイ空!、オーイ海!、わたし花子よ〜!」
 肢をいっぱい広げて、空気の抵抗をいっぱい受けました。まるで時間が止まったようにゆっくりゆっくりと落ちていきます。
 ザブ〜ン!、花子はユキがふきだした潮と一緒に海の中に落ちました。白い泡の中、そこも別世界のようでした。
 しばらくすると海の中が静まりました。そこに大きな目が花子を見つめていました。
「花子ちゃん大丈夫?」
 その目は、ユキの母親の優しいマリの目でした。