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うみがめ花子



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その31

 のぞみちゃん達と再会してからどれくらいの時が流れたでしょうか。いつしか花子達はアメリカの西海岸を黒潮に乗って回遊し、メキシコのカリフォルニア沖合に来ていました。そこにはエビがいっぱいいて、食べ物は豊富にありました。
 体も大きくなり甲羅はごつごつとしていました。花子の大きさは甲羅の長さが50cm、重さは15kgを越えていました。
 いつしかアオウミガメのアリエやクマノミのアッシー、ベラのマユ、スズメダイのアンナはいなくなり、周りにいるのはアカウミガメの仲間だけです。
 ここは天国です。食べ物のエビはいっぱいいるし、海水はいつも暖かでした。
「のぞみちゃん、最近太っていない・・・?」
「花子ちゃんこそ太ってはいない?」
「いやいや、お二人ともいい体ですよ」
さとる君が語りかけてきました。
「それにしてもよしみちゃんは太らないわネ!いっぱいエビを食べているのでしょう・・・」
花子はよしみちゃんをうらやましげに見ました。こんな穏やかな会話を毎日のように交わしていました。そして海の上に浮いて休んだり、海の底で休んだり、食べては休み、休んだら食べる。エビをいっぱい食べた花子達は栄養豊富な体つきになっていました。
 エビがいっぱいいるということは、エビを取っている人間がいるはずですが、花子達はそのことにまだ気づいていませんでした。
 砂浜では漁師の人達がエビを獲るために網を手入れしていました。