花子は力の限り肢をばたつかせ、漁師に抵抗しました。そこにビリーさんとトムさんが息を切らせて走ってきました。
「漁師さん!そのウミガメを売ってください!」
ビリーさんが漁師の前に立ちはだかって言いました。ビリーさんの顔見知りの漁師さんでした。
「ビリーさん。また、あなたかい。このカメはみんなで食べようと思っていたのに・・・」
「死んでいるのならまだしも、生きているではないですか。売ってくださいよ」
ビリーさんとトムさんは必死で食い下がりました。そのかいがあって、花子はビリーさんとトムさんの手に渡りました。でも、花子にとっては誰の手に渡ろうと同じでした。
 ビリーさんとトムさんは花子をビリーさんたちの船にもって行きました。そして、花子の重さを測ったり、大きさをノギスで測ったりしました。最後に花子の前肢に金属の標識とプラスチックの標識をつけ、更に花子のお腹の中に小さなマイクロチップを入れました。ビリーさんは花子に海水を汲んで乾いた甲羅にかけてあげました。バタバタバタ、花子は船の中を這い回りました。
 ドドドドー、船はエンジンをかけ、沖に向かって走り出しました。はるか沖合いに出た船はスピードをゆるめて泊まりました。ビリーさんは花子を抱きかかえ船の端へ行きました。
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その36