「にげて!」
まりえは叫び、サンゴの陰にすばやく隠れました。黒い影がすばやく花子達に襲いかかってきました。
「助けて~!」
声のしたところを振り向いてみると大きな魚が花子の仲間を鋭い歯で噛み千切り、あたりは真っ赤な血が渦巻いていました。更に口にくわえて沖合の方に、黒い影は泳いでいきました。
 襲ってきたのはウミガメを好物とするイタチザメでした。大きさは3mを超えているようでした。硬いウミガメの甲羅をいとも簡単に噛み千切って、噛み砕いてしまったのです。
 ここは花子達にとってパラダイスであり、危険な海でもあったのです。でも、お腹一杯になったイタチザメはしばらくの間、お腹が減るまで襲って来ないのです。
 花子は隠れていたサンゴ礁から恐る恐る出てきました。花子の仲間達やスズメダイのまりえや他の魚達も、用心深く辺りを見渡しながらサンゴ礁の陰から出てきました。海の中はまだ襲われたウミガメの血の臭いがしていましたが、サンゴ礁の上ではいつものように色々な魚で賑わっていました。
「かわいそうに・・・。でも、犠牲になったウミガメのお陰でしばらくは安心できるわ」
スズメダイのまりえは言いました。花子達もお腹が減った時は何か食べなければならないので、悲しんではいられないのです。西の方で何があるか分かりません。花子達は西に向うためにハワイで体力をたくわえることにしました。サンサンと輝く太陽、白いサンゴ礁、おいしい食べ物がいっぱいあり、危険なところだけど、ここはやっぱりパラダイスです。

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その39