花子が生まれて、太平洋の黒潮に乗って大人になる旅に出かけたころ、ザトウクジラの家族と出会い、潮吹き遊びをしたころを思い出しました。今はマッコウクジラの家族と出会い、一緒に日本へ向かって旅をしています。花子は大きくなり、潮吹き遊びはできませんでしたが、あゆみの背中に乗せてもらったり、お父さんの頭に乗り、噴出す潮を体に浴びたりして遊びました。
「のぞみちゃん、すべり台も楽しいよ」
花子はあゆみの背中に這い上がり、あゆみが噴出した潮に乗り、あゆみの背中を滑っていきました。ザブーン~!息継ぎをするため、斜めに体を跳ね上げたあゆみの背中から海中に滑り落ち、海の中で体がゆっくりとぐるぐるまわり、宇宙を遊泳しているようでした。
「のぞみちゃんもしてみたら・・・?」
「楽しそうだね。私もするわ」
とのぞみちゃんはあゆみの兄のひでおの背中に這い上がり、花子と同じようにして遊びました。さとるは
「もう、大人になったのだからそんな遊びはやめたら・・・」
と変な目で花子達を眺めていました。
 花子達は、真っ赤な大きな夕陽が西の空に沈んでいき、暗くなるまで遊んでいました。花子はあゆみの背中に体を預け、安らかな眠りに入りました。今夜はどんな夢を見るのでしょうか・・・。花子達はマッコウクジラの家族達と海の上で一緒に固まって眠りました。アカウミガメとマッコウクジラ、面白い組み合わせでした。
 朝焼けで空が赤くなるころ、みんな目を覚ましました。マッコウクジラの家族は朝食に行く準備をしています。特にお父さんのこうじとお母さんのとしこは、意気揚々としています。今からダイオウイカを捕りに何千メートルも海に潜るのです。あゆみはまだ小さいためにそんなに潜れませんでした。花子達の食べるものはまだ見当たりません。海草や流木などを見つけ、そこに付いているエボシガイなどを食べるしかありませんでした。でも、栄養を体いっぱいたくわえている花子達は元気でした。
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うみがめ花子



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その42