はるか彼方に海から突き出た島がありました。山は雲で覆われ、雲の下は濃い緑で覆われていました。花子はその島を見た途端、急に島へ引き寄せられる気がしました。近くに行ってみよう。他の仲間たちもそのように感じている様子でした。
 その島は屋久島でした。花子達はこの島で生まれて巣立っていったのでした。
「何か懐かしい匂いがするわ」
花子はそばにいたさとるに言いました。深い底まで見える澄み切った海は、花子達に
「よく帰って来たネ・・」
と呼びかけているようでした。
「あそこに白い砂浜が見えるわ。もっと寄ってみよう」
 その浜は花崗岩の砂でできた浜でした。海の底にもその砂があり、海は透き通って見えました。浜を見ると砂浜の後ろには松がそびえていて、更にその後ろには青々とした木々が生い茂ってしました。花子は胸の鼓動が非常に高まってきました。花子が生まれた浜かもしれないのです。
 その浜は「いなか浜」と呼ばれていました。屋久島のなかで最も綺麗な美しい砂浜です。1990年、花子達はついに故郷の砂浜を望むことができたのでした。でも、そばによって浜をみると生まれたときよりも砂浜が減っているように思えました。
 花子達はしばらく故郷の海域に留まって楽しく過ごしました。これから冬になっていきます。花子達の行き先はもうすぐです。これから大人になる準備をしなければならないのでした。
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うみがめ花子



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その48