初めての産卵から10日間、花子はさとると海底の岩場の穴に体を半分入れて静かにしていました。時々呼吸をするために海上に顔を出すぐらいでした。そろそろ、2回目の産卵が始まりそうでした。
「さとちゃん、そろそろお腹がはってきたわ」
花子はさとるに寄り添って話しかけました。2回目の産卵が始まろうとしているのでした。
 それから3日後の夜、いなか浜に上陸しようと波打ち際までやってきました。すると、突然浜の上でカメラのフラッシュが光り、大勢の人達が何かを取り囲んでいました。バシャ、バシャとフラッシュの光は止みません。花子は驚いて直ぐにさとるの待っているところに帰りました。
「さとちゃん、ものすごく明るい光が浜の上でいっぱい光っていたの、何かしら?」
「ウ~ンななんだろう…。」
さとるもその光が何か分かりませんでした。
花子も2年後に経験したのでしたが、その光はカメラのフラッシュの光であることが分かりました。産卵を始めた花子の周りに多くの見学者が集まり、容赦なくフラッシュの光で写真を撮影し、花子は驚いたあまり、穴埋めもそこそこにして海に帰って行きました。
 その夜、花子は上陸するのは控え、さとるといつもの岩場でやすみました。次の日の夜遅くいなか浜に再び上陸しました。
 静かな夜です。星もきれいです。上陸する花子は細心の注意を払って卵を産むために上陸しました。
 ザクザク!直ぐ後ろからウミガメの上陸してくる足跡がします。振り向くとのぞみちゃんでした。

 
 
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その53