調査研究

生態調査報告

2019年の生態調査報告

2019年の永田地区(いなか浜・前浜・四ツ瀬浜・川口浜)におけるウミガメの上陸状況は、アカウミガメが上陸2,902回(2018年比88.6%)、 アオウミガメが上陸194回(同346.4%)でした。 2018年よりアカウミガメとアオウミガメの上陸回数は、アカウミガメで11.4%低下し、アオウミガメは246.4%大幅に上昇しました。その中で、いなか浜でのアカウミガメの上陸回数は886回、前浜では1,646回で、2019年はいなか浜より前浜の上陸回数が多い結果となりました。

2018年の生態調査報告

研究報告

アカウミガメの産卵地固執性の形成過程に関する研究

ウミガメ類は特定の砂浜に強く固執し、同じ砂浜に繰り返し上陸して産卵することが知られている。この固執性に対する解釈として「母浜回帰説」がある。しかし、これまで行われてきたミトコンドリアDNAの解析や子ガメの標識放流などでは、母浜回帰説を実証するに十分な証拠は得られていないどころか、産卵に成功した経験によっても固執性が生じている可能性が示唆されている。本研究はウミガメ類の産卵地に対する固執性の形成のメカニズムを解明することを目的とする。また、ウミガメの海洋における行動は未解明であり、衛星送信機を装着することで、放流後の索餌回遊と産卵回帰の際の接岸過程を明らかにすることを目的とする。

絶滅危惧種のアカウミガメの母浜回帰及び ふ化幼体の索餌回遊行動に関する調査研究

本調査研究では、屋久島で産卵した卵を採卵して島外の浜に移植して生まれた子ガメにPITタグを装着し、母浜回帰を調査することを目的とする。また、放流後のこれらの個体の索餌回遊を解明することも目的とする。さらに、子ガメから数年ほど経過した幼体の回遊経路が未だ解明されてないこともあり、放流後のこれらの個体の索餌回遊を解明することも目的とする。副次的な効果として、アカウミガメの性成熟年齢や成体になる確率などの解明も期待され、さらに「母浜回帰」が実証されれば、上陸が減少している海浜においてウミガメの回復も期待される。